Gemini Omni 1.1 Flashは、Googleの新しい動画生成・編集モデルです。Gemini Developer APIでは gemini-omni-1.1-flash という正式なモデルIDが公開され、テキストからの動画生成だけでなく、会話を続けながらの編集、シーン延長、開始・終了フレームの指定にも対応しました。
旧版や別の動画モデルから移る価値があるかは、4Kという数字だけでは決まりません。まず、どのGoogle製品で何をしたいのかを切り分ける必要があります。
移行判断は「利用面」から始める
| 利用面 | モデル名または入口 | 判断上の注意 |
|---|---|---|
| Gemini API / Google AI Studio | gemini-omni-1.1-flash | Interactions APIを使う開発者向け経路 |
| Gemini Enterprise Agent Platform | gemini-omni-1.1-flash-preview | Pre-GA条件のCloud Preview。別の契約として扱う |
| Google Flow | 製品内のGemini Omni 1.1 | サブスクリプション型の制作環境。API IDではない |
| Geminiアプリ | 対象アカウントのシーン延長 | UIに機能があるかを実際のアカウントで確認する |

Googleは1.1の発表で、Gemini API側を開発者向けにproduction-readyと説明しています。一方、Cloudの gemini-omni-1.1-flash-preview はGenerative AI Previewです。名前が近くても、同じlifecycleや料金を前提にしてはいけません。
旧版から変わるのは反復制作のしやすさ
1.1は、完成形を一度で当てるモデルというより、試作と修正を繰り返すためのモデルです。
360pで軽いdraftを作り、構図や動きを比較してから、残したいtakeだけを1080pまたは4Kへupscaleできます。1080pと4Kは公式APIドキュメントでもupscaled outputと記載されています。解像度が高いことと、元の細部が正しいことは別なので、人物の指、商品ロゴ、字幕などは最終出力で再確認が必要です。
開始フレームと終了フレームを渡す機能は、決まった着地点へカメラを動かす場合や、ループ、商品reveal、2つのデザイン案をつなぐ場合に向いています。短い参照動画は、動きや見た目のcontextを渡す用途です。
シーン延長では、最大10秒の直前contextを分析し、10秒ずつ追加して累計40秒まで伸ばせます。これは一度に自由な40秒動画を作る仕様ではありません。追加できるのは末尾だけで、冒頭や中間への挿入には対応しません。

APIで最初の生成を行う
Python SDKでは、APIキーを安全な環境設定で渡したうえで、次のようにvideo responseを指定できます。
pythonimport base64 from google import genai client = genai.Client() result = client.interactions.create( model="gemini-omni-1.1-flash", input=( "紙で作られた都市が夜明けに目覚め、窓の光が順番に灯る。" "途切れない1つのショット。台詞なし。" ), response_format={ "type": "video", "aspect_ratio": "16:9", "resolution": "720p", }, ) with open("city.mp4", "wb") as output: output.write(base64.b64decode(result.output_video.data))
output_video はSDKの便利なfieldです。RESTを直接使う場合、動画はresponseの steps 内にあるため、同じ読み出し方はできません。縦型は 9:16、標準は 16:9 です。
最初の結果を修正するときは、同じinteractionを維持し、「照明を夕方に変更し、他は維持する」のように変更範囲を絞ります。長いpromptを最初から書き直すと、残したかった要素まで再生成されやすくなります。
アップロード素材には停止条件がある
アップロードした動画を編集・延長する場合、入力は通常10秒以下である必要があります。人物が話しているアップロード動画に、新しい台詞を追加する延長はサポートされません。voice editingと単独のaudio referenceも未対応です。
参照動画は最大3本、各3秒までで、音声は無視されます。複数の長い動画を理解して一本にまとめる機能ではありません。
さらに、欧州経済領域、スイス、英国では、ユーザーがアップロードした動画の編集・延長が現在利用できません。モデルが生成した動画を同じinteractionから延長する場合は別扱いです。実在人物、認識可能な人物、未成年を含む素材にも制限があります。
生成動画には不可視のSynthIDが入り、入力と出力の両方に安全filterが適用されます。英語はfully supportedですが、他言語は同等に評価されていないとGoogleは説明しています。日本語promptが動いても、複雑なカメラ指示では英語と同じ安定性を保証できません。
料金は1.1の行を確認してから見積もる
2026年8月29日時点のGemini Developer API pricingでは、読み取れるOmni動画の行が旧 gemini-omni-flash-preview のままで、720p換算約0.10米ドル/秒と示されています。この行は1.1を明確に名指ししていません。
したがって、旧価格を gemini-omni-1.1-flash の確定単価として見積もるべきではありません。実際のprojectでモデル、解像度、課金単位、quota、失敗時の請求を確認してください。Cloud Previewは別ID・別lifecycle・別の消費方式です。
移行するべきケース、待つべきケース
会話の中で動画を生成し、部分修正し、続きを作る機能を自社アプリに組み込みたいなら、Omni 1.1へ移る理由があります。既存の一方向video generationが安定しており、編集会話を必要としないなら、すぐ全面移行する必要はありません。まず代表素材で品質、latency、cost、安全filterを比較し、旧routeをfallbackとして残します。
費用を含めVeo系の経路を比較したい場合は2026年のVeo 3料金、APIキーと無料/有料境界が先に必要ならGemini API無料枠ガイドが次の判断に向いています。
本番設定には、正確なmodel ID、利用面、region、確認日、fallbackを一緒に残してください。これで、アプリ上のOmni、Cloud Preview、Developer APIが将来同じ名前に見えても、契約の違いを追跡できます。



