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GPT-5.6 Sol・Terra・Lunaの選び方:API料金と実測手順

15 分で読めますOpenAI API

3モデルの試験開始点を用途別に整理し、同じ代表サンプルから合否、再試行、token、待ち時間、修正時間を記録して採用先を決められます。

難しい推論、均衡、大量処理をgpt-5.6-sol、gpt-5.6-terra、gpt-5.6-lunaへ振り分け、実測で確定する意思決定図

OpenAI APIで3モデルを選ぶなら、まず次のように候補を絞れます。

  • 複雑な推論やコード修正で、品質差が単価差を上回りそうなら gpt-5.6-sol
  • 品質と費用の釣り合いを探るなら gpt-5.6-terra
  • 単純な処理を大量に回し、単価を強く抑えたいなら gpt-5.6-luna

ただし、これは試験を始める位置であり、最終的な順位ではありません。OpenAIのModelsページ公式のモデル比較も、Solを複雑な推論とコーディング、Terraを知能とコストの均衡、Lunaをコスト重視の大量処理向けと位置付けています。これは提供元による役割の説明であり、実際の入力に対する品質、応答時間、スループットの保証ではありません。

本記事が扱うのはAPIのモデル選択です。ChatGPTのプラン、画像生成、音声、Realtime、embeddingなどの専用モデルは比較対象に含めません。

用途で試験候補を絞り、代表タスクの実測結果で採用先を確定します。

最初に固定するのは3つの明示的なモデルID

APIリクエストの model に指定する正式なIDは、gpt-5.6-solgpt-5.6-terragpt-5.6-luna です。短いエイリアス gpt-5.6 は、2026年8月10日時点では gpt-5.6-sol を指します。OpenAIのLatest model guideで現在の参照先を確認できます。

検証用の短いスクリプトならエイリアスは便利ですが、本番で同じ挙動を維持したい場合は明示IDを固定するほうが安全です。エイリアスを使う場合は、参照先の変更を検知できるようにしてください。参照先は将来変わり得るため、デプロイ前にも公式ページを再確認します。

3モデルは、入力と出力を合わせて保持できる「コンテキストウィンドウ」が1,050,000 tokensです。その内訳には別々の上限があり、最大入力は922,000 tokens、最大出力は128,000 tokensです。いずれもtextとimageを入力でき、textを出力し、Responses、Chat Completions、Batchをサポートします。knowledge cutoffは2026-02-16です。これらは公式の比較表およびgpt-5.6-solgpt-5.6-terragpt-5.6-lunaの各モデルページで確認できます。

共通の上限や対応APIが同じでも、同じ品質、待ち時間、スループットになるとは限りません。ここを仕様表だけで決めず、後述する同一サンプルの比較につなげるのが重要です。

単価を比べる前に、課金される4種類のtokenを区別する

料金表の数字を読むには、まず次の4項目を分けます。

  • input:そのリクエストで新たに処理される入力
  • cached input:キャッシュが利用された入力
  • cache write:再利用のためキャッシュへ書き込む入力
  • output:モデルが生成した出力

以下はOpenAI API Pricingに掲載された、2026年8月10日時点のOpenAI direct APIの料金です。単位はすべてUSD/100万tokensで、Standardかつ入力が272K tokens以下の短コンテキスト料金を示します。

モデル公式の想定用途inputcached inputcache writeoutput検証を始める処理例
gpt-5.6-sol複雑な推論、コーディング$5.00$0.50$6.25$30.00複数条件の判断、難しいコード修正
gpt-5.6-terra知能とコストの均衡$2.00$0.20$2.50$12.00定型化しきれない業務処理、抽出と判断
gpt-5.6-lunaコスト重視の大量処理$0.20$0.02$0.25$1.20単純な分類、短い変換、大量の前処理

表の「処理例」は採用保証ではなく、どこから検証を始めるかの目安です。とくにLunaを常に最速、Terraを常に無難、Solを常に高品質とは判断できません。

3モデルのStandard inputとoutput単価を同じ縮尺で示す価格ラダー

Standard短コンテキストの単価比較。USD/100万tokens、2026年8月10日時点。272K入力を超える場合は別倍率が適用されます。

272Kを超えると、超過分だけではなくリクエスト全体が高くなる

入力が272K tokensを超えるリクエストには、inputが2倍、outputが1.5倍の長コンテキスト料金がリクエスト全体に適用されます。超えた部分だけが割増になるわけではありません。cache writeはuncached inputの1.25倍です。この境界と倍率も公式Pricingページで確認できます。

長い文書を扱う処理では、モデル間の単価差を見る前に、1リクエストへ詰め込む必要があるかを見直す価値があります。分割によって判断に必要な文脈が失われるなら無理に短くすべきではありませんが、不要な履歴や重複資料を除くだけで272K境界をまたがずに済むことがあります。

Standard、Batch、Flex、Fastは即時性も含めて選ぶ

同じモデルでも処理モードによってtoken料金が変わります。OpenAI API Pricingでは、BatchとFlexはStandardの半額、FastはStandardの2倍です。対象となるリージョナル処理では10%の上乗せが発生し得ます。

単価だけならBatchやFlexが魅力的でも、締切、待ち時間、キューの動作、プロジェクトでの利用可否が処理要件に合うとは限りません。反対にFastは、待ち時間の短縮が人の作業停止やユーザー離脱を減らす場合に初めて、2倍の単価と比較する意味があります。ツール利用料もtoken料金とは別に確認してください。

現在の公開名称はFastで、旧称はPriority Processingです。2026年7月30日の変更はOpenAI API Changelogに記録されています。互換性のため、リクエストの service_tier には fast に加えて priority を指定でき、レスポンスが priority を返す場合もあります。Responses create referenceで現行の指定方法を確認し、公開名称のFastと互換値・レスポンス値の priority を混同しないでください。

要件最初に確認するモード採用前に確認すること
通常のオンライン処理Standard実測待ち時間、通常時とピーク時のばらつき
完了時刻に余裕がある一括処理BatchまたはFlexキュー、完了条件、利用可否、再実行方法
待ち時間そのものが大きな損失になるFast2倍のtoken単価に見合う短縮か、実効 service_tier

1リクエストの安さではなく「受理できる結果1件」の総コストを見る

モデルを実行する前に、その処理で何を「合格」とするかを一文で固定します。たとえば「指定したJSON schemaを満たし、必須フィールドが欠けていない」「生成コードが対象テストをすべて通る」「要点抽出で基準回答の必須事項を落とさない」のように、機械判定または一貫した目視判定ができる条件にします。

比較すべきなのは最初のAPI呼び出しの料金だけではありません。少なくとも次をモデルごとに記録します。

  • 初回で合格した件数
  • 再試行の回数と、再試行で増えたinput/output tokens
  • 人が修正に使った時間
  • 1件ごとの待ち時間
  • 最終的に受理できた件数

受理できる結果1件あたりの総コストは、次の考え方で計算できます。

text
受理できる結果1件あたりの総コスト =(初回API料金 + 再試行API料金 + 人の修正時間 × 時間単価)÷ 受理できた件数

たとえば、1件あたりuncached input 20,000 tokens、output 5,000 tokensを使うStandard短コンテキスト処理を仮定します。キャッシュ、ツール料金、再試行、人の修正費用をまだ含めない最初のtoken料金は、Solが$0.25、Terraが$0.10、Lunaが$0.01です。

モデルinputの計算outputの計算1件のtoken料金
gpt-5.6-sol20,000 ÷ 1,000,000 × $55,000 ÷ 1,000,000 × $30$0.25
gpt-5.6-terra20,000 ÷ 1,000,000 × $25,000 ÷ 1,000,000 × $12$0.10
gpt-5.6-luna20,000 ÷ 1,000,000 × $0.205,000 ÷ 1,000,000 × $1.20$0.01

これは計算法を示す仮定であり、モデル性能の実測結果ではありません。Lunaで再試行と手直しが増えるのか、Solの高い単価が修正時間を十分に減らすのかは、あなたのサンプルを実行するまで分かりません。初回合格率を架空の数字で埋めず、実際の記録から計算してください。

Responses APIでmodel IDだけを切り替えて比較する

OpenAIはGPT-5.6の推論、tool calling、複数ターン処理にResponses APIを推奨しています。これはLatest model guideResponses create referenceで確認できますが、Responses APIの推奨自体は、どのモデルがあなたの処理で勝つかを証明しません。

次の最小例では、入力と service_tier を変えず、MODEL_ID だけを3つの明示IDへ切り替えます。APIキーはコードへ直接書かず、環境変数から渡します。

bash
MODEL_ID="gpt-5.6-sol" curl https://api.openai.com/v1/responses \ -H "Authorization: Bearer $OPENAI_API_KEY" \ -H "Content-Type: application/json" \ -d "{ \"model\": \"${MODEL_ID}\", \"service_tier\": \"standard\", \"input\": \"ここに3モデル共通の評価入力を入れる\" }"

Fastを検証するときは service_tierfast にします。後方互換の priority を使う既存コードでは、レスポンスに返る実効値も保存してください。指定可能な値や利用条件は変更され得るため、実行時点のAPI referenceを確認します。

レスポンス本体に加え、評価表へ次の列を残すと、価格表だけでは見えない差を追えます。

記録する内容
model_id実際に指定した明示ID
service_tier_requestedリクエストで指定した値
service_tier_effectiveレスポンスで確認した実効値
input_tokens / output_tokens実使用量。利用可能ならキャッシュ区分も分ける
latency_msリクエスト開始から受信完了まで
accepted事前に固定した合格条件を満たしたか
retry_count受理までに必要だった再試行回数
repair_minutes人が修正に使った時間
notes失敗理由や再現条件。機密情報は残さない

代表サンプルを3モデルで実行し、合否や総費用を記録して選ぶ評価フロー

同じ入力と合格条件で比較し、合否、再試行、tokens、待ち時間、修正時間を受理できる結果1件あたりの総コストへ集約します。

20〜50件の代表サンプルで採用先を決める

本番データの分布を反映しつつ機密情報を除いた20〜50件程度を用意します。簡単なケースだけでなく、実際に失敗しやすい長文、曖昧な入力、欠損項目、複数条件を含めます。これは統計的な万能保証ではなく、仕様表だけで決めるよりも自分の処理に近い証拠を得るための小規模な出発点です。

  1. 合格条件を一文で固定する。
  2. 3モデルで同じ入力、プロンプト、出力形式、service_tier を使う。
  3. 合否、再試行、token区分、待ち時間、修正時間を記録する。
  4. 各モデルの受理できる結果1件あたりの総コストを計算する。
  5. 品質の下限、待ち時間の上限、月間予算を満たす候補を残す。

一つのモデルへ統一する必要はありません。難しいコード修正はSol、一般的な抽出と判断はTerra、大量の単純分類はLunaというように、処理タイプごとに振り分けたほうが、品質と費用の両方を管理しやすい場合があります。ただし、この振り分けも公式の想定用途だけで固定せず、各処理の実測値で更新します。

最初の一歩は、公式PlaygroundまたはResponses APIで代表タスクを同条件実行することです。展開前には、gpt-5.6 エイリアスの参照先、最新料金、service_tier の利用可否を公式ページで再確認してください。そして月間の請求額だけでなく、再試行と人の修正を含む「受理できる結果1件あたりの総コスト」を継続して記録します。

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